債務整理をすると、今持っている預貯金がどうなるのか、預貯金がどのように取り扱われるのか心配になる方もいらっしゃるかと思います。
結論からお伝えすると、預貯金があっても債務整理をすることは可能ですし、預貯金を残すことも可能です。ただし、債務整理には①任意整理 ②自己破産 ③個人再生といった3種類の方法がありますので、どの手続きをするかによって変わってくる部分があります。
預貯金を失ってしまうのなら債務整理をしたくないという不安を解消するために、この記事では債務整理と預貯金との関係についてみていきたいと思います。
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任意整理の場合
任意整理手続きの場合、基本的には預貯金には影響がありません。任意整理手続きは債権者との一対一の交渉なので、多額の預貯金を持っていても無くなることはありません。
また、債権者側も預貯金額が分かることはありませんし、ご家族名義の預貯金にも影響はありませんので、問題なく手続きができます。ただし、預貯金を持っている銀行のカードローンに対して任意整理をする場合には注意が必要です。
具体的にお伝えすると、A銀行とB銀行にそれぞれ100万円ずつ預貯金を持っていたとします。A銀行のカードローンに対して任意整理をした場合、A銀行の口座は凍結されます。
口座が凍結されるとお金を引き出すことは出来なくなるので、特に給与口座になっている場合は注意が必要です。さらに中に入っているお金は強制的にカードローンの返済に充てられます。
また、口座引き落としも出来なくなりますので、公共料金や家賃などの引き落とし口座になっている場合もあらかじめ変更しておく必要があります。
自己破産の場合
自己破産手続きをする際、一定額以上の預貯金があるとその預貯金失う可能性があります。
自己破産手続きは、生活に必要な最低限の財産を残す代わりに借金をチャラにすることができる手続きだからです。
裁判所によって取り扱いは異なりますが、大阪地方裁判所では現金と預貯金を合わせて50万円以上の場合は破産管財事件になるとされています。
破産管財事件になると破産管財人と呼ばれる人が裁判所から選任され、破産者の財産の調査や管理を行います。破産管財人が選任されると破産管財人に対する報酬の支払いが発生しますので、費用がかかってしまいます。
ただし、破産管財事件になったとしても、現金と併せて総額99万円までは手元に残して破産することができます。また、家族名義の預貯金には影響がありませんのでご安心ください。
個人再生の場合
個人再生手続きの場合、自己破産手続きと違い、所有している財産を処分されることはありません。ただし、所有している財産額により、弁済していく金額が変わってきます。
個人再生手続きは、法律で定められている最低弁済額か所有している財産額の合計のどちらか多い方の金額を弁済していく必要があります。そのため預貯金の金額によっては弁済する必要がある金額が変わってきます。ただ、個人再生によって預貯金がなくなることはありません。
まとめ
債務整理手続きの中で、直接的な影響が預貯金に及ぶ可能性があるのは自己破産手続きのみとなります。自己破産手続きの場合、現金と預貯金が併せて50万円以上の場合は、破産管財事件という複雑な手続きになるとお伝えしました。
ただし50万円未満なら必ず破産管財事件にならないかというと、そういう訳ではありません。他にも財産を所持している場合は破産管財事件になり、かなりの費用がかかってしまう場合があります。
ご自身の財産状況で破産管財事件になるかどうかは全体を見てみないと分かりませんので、ぜひ一度、司法書士等の専門家にお尋ねください。