時効援用の流れと援用の方法

借金問題の悩み

「借金を返済する義務があるのに、長い間放置してしまった。今となっては時効になっているのでは?」

というお悩みを抱える相談者の方は多いです。時効援用は、一定の条件下で借金の返済義務が消滅する制度ですが、適切な手続きを踏まなければ、援用は成功しません。この記事では、時効援用の正しい手続きとその方法についてご紹介します。


1.時効援用とは

時効援用とは、一定の期間、債権者から借金の返済を求められなかった場合、その借金の返済義務が消滅したと主張することです。債権者に対して時効が完成したので援用する旨の意思表示することにより借金がなくなります。この意思表示が「時効援用」です。時効援用の意思表示をするまで、債権者には請求する権利が残っているため、たとえ消滅時効が完成した借金の返済を請求されたとしても、その請求は適法です。


2.時効援用の流れ

時効援用を行うための手続きは以下の通りです。

債権の存在を確認する

まず、債権が存在するかどうかを確認します。これには、契約書や過去の取引履歴などの書類が必要です。過去の取引の詳細や、債権者からの最後の連絡内容、日付などを正確に把握することが重要です。

時効の成立を確認する

次に、時効が成立しているかどうかを確認します。これには、最後の返済日や債権者からの最後の連絡日などを基に計算します。時効が更新された場合や完成猶予された場合の日付も確認する必要があります。また、令和2年4月1日に民法が改正されたので注意が必要です。

債権者に対して、時効の援用を通知する

時効が成立していることがしっかり確認できたら、債権者に対して時効援用の意思表示を通知します。この通知は必ず書面で行い、受領したことの確認が取れる方法(例えば内容証明郵便など)で送付します。通知する内容は、時効援用の根拠となる事実や法律の条文、そして時効援用の意思表示を記載します。

債権者からの反応を待つ

債権者からの反応を待ちます。債権者が時効援用を認める場合、返答があることもありますが、返答がない場合も考えられます。一か月ほどしても返答がない場合、時効援用が成立したケースが多いです。

必要に応じて法的手続きを進める

債権者が時効援用を認めない場合や、反論がある場合は、法的手続きを進めることが考えられます。こうなると、法律専門家のサポートを受ける必要が出てきます。


3.時効援用の注意点

時効援用を成功させるためには、以下の点に注意が必要です。

(ア)時効期間が経過しているかの確認

時効の援用は、時効が完成した後に行う必要があります。時効完成前に時効援用の連絡をしてしまうと、債権者から請求を受けるリスクが高まります。この場合、時効の進行が止められる可能性があります。借金の時効期間は、最後の取引から5年、個人間での貸し借りの場合は10年となっています。契約書や取引履歴を確認し、時効期間が経過しているかを正確に判断することが重要です。


(イ)時効が更新されていないかの確認

時効期間が経過していても、時効が更新されている場合、消滅時効は完成していません。時効の更新とは、特定の事由が発生した場合に、進行していた時効期間がリセットされることを指します。債権者からの裁判上の請求や債務者による承認が時効の更新事由となります。


(ウ)債務承認に当たる行為をしないよう注意する

時効が完成した後も、債務の承認には注意が必要です。債権者との会話中に、債務承認に該当する言動を引き出された場合、時効完成後であっても債務の承認が認められ、時効の援用をするこができなくなります。時効の援用をする際は、安易な連絡などを避け、正しい手順を踏むことが重要です。


まとめ

時効援用は一見簡単そうに思えますが、適切な手続きと正確な知識が必要です。特に、最近の民法改正により、時効に関する規定が変わったため、最新の情報をもとに適切なアクションを取ることが求められます。時効援用に関して不安や疑問を感じている方は、専門家に相談することをおすすめします。

当事務所は、時効援用に関する専門的なアドバイスやサポートを提供しておりますので、お気軽にご相談ください。皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。

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